Azure CLIとAzure PowerShellの違いとは?

ポコぺん

ログイン・サブスクリプション取得例で学ぶ使い分けの基準

Azureのクラウド環境を効率的に管理・運用する際、ポータル画面(GUI)だけでなく、コマンドラインツール(CUI)の活用は欠かせません。
しかし、いざ導入しようとすると「Azure CLI」と「Azure PowerShell」という2つの選択肢に直面し、どちらを学習・採用すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

これら2つのツールは、どちらもAzureのリソースを操作できる強力な手段ですが、設計思想や得意とする実行環境、そしてデータの扱い方に明確な違いがあります。
例えば、macOSやLinux環境での操作に馴染みやすいCLIに対し、PowerShellはWindows環境との親和性が高く、高度なオブジェクト操作による自動化を得意としています。

本記事では、Azure運用の基本である「ログイン」から「サブスクリプション一覧の取得」まで、具体的なスクリプトの比較を通じて両者の違いを明確にします。
それぞれの強みや特性を整理し、ご自身のプロジェクトや開発環境においてどちらを選択すべきかの判断基準を提示します。
この記事を読み終える頃には、状況に応じた最適なツール選定ができるようになっているはずです。

この記事を読んでほしい人

  • Azureを学び始めたITエンジニア。
  • ポータル操作からコマンドラインでの管理・自動化へステップアップしたい運用担当者。
  • 開発環境に合わせて最適なツールを選定したいアーキテクト。
結論

どちらを使うべき?OS環境と操作の目的で選ぶ

Azure CLIとAzure PowerShellは、どちらもAzureリソースを管理するための強力なツールですが、設計思想が異なります。
迷った際は、以下の基準で選定してください。

1. OS環境で選ぶ

まずは、操作を行う端末のOSを確認してください。

  • macOSやLinuxを利用している場合:Azure CLI
    Azure CLIはPythonベースで構築されており、Unix系シェルの慣習に最適化されています。
    Bash環境での操作が非常にスムーズです。
  • Windowsを利用している場合:Azure PowerShell
    Windows PowerShellやPowerShell 7が標準で動作する環境であれば、Azure PowerShellの方がシステムとの親和性が高く、導入のハードルも低くなります。

[NOTE]
現在はどちらのツールもクロスプラットフォーム対応が進んでいるため、OSを問わず動作自体は可能です。
しかし、OS標準のシェルとの相性が作業効率に直結します。

2. 操作の目的(データの扱い方)で選ぶ

「取得したデータをその後どう使いたいか」が大きな判断ポイントです。

  • 素早くリソースを確認・作成したい(テキスト重視):Azure CLI
    コマンドが短く、対話的な操作に向いています。
    出力結果はテキスト(デフォルトではJSON形式)として返されるため、必要な情報を目で追うのが容易です。
  • 複雑な自動化スクリプトを組みたい(オブジェクト重視):Azure PowerShell
    最大の特徴は、データを「オブジェクト」として扱う点です。
    例えば、取得したリソース一覧から特定の条件でフィルタリングし、そのまま別のコマンドへ渡す(パイプ処理)といった高度なスクリプト作成において、型安全で確実な処理が可能です。

クイック比較表

選定ポイントAzure CLI (推奨)Azure PowerShell (推奨)
ユーザー属性開発者、Linux/Macユーザーインフラ管理者、Windowsユーザー
得意なシェルBash, ZshPowerShell
出力形式JSON (テキストベース).NET オブジェクト
主な用途CI/CDパイプライン、単発操作高度な運用自動化、一括処理

判断の目安

  • 「手軽に短くコマンドを打ちたい」なら、Azure CLI
  • 「変数やループを駆使して、プログラムに近いスクリプトを書きたい」なら、Azure PowerShell

まずは、ご自身のメイン環境に合わせて一方を使い始めてみることをお勧めします。

Azure CLIの特徴とコマンド例

Azure CLIは、コマンドライン(シェル)からAzureリソースを管理するためのクロスプラットフォームなツールです。
Pythonベースで構築されており、シンプルかつ直感的な操作感が特徴です。

Azure CLIの主な特徴

  • プラットフォームを選ばない:
    Windows、macOS、Linuxのいずれでも同じコマンド体系で使用できます。
  • 簡潔なコマンド体系:
    コマンドが短く設計されており、対話的な操作(アドホックな作業)において非常に高い効率を発揮します。
  • 出力の柔軟性:
    標準ではJSON形式で出力されますが、表形式(table)やTSV形式など、用途に合わせて簡単に切り替えられます。

実践:ログインからサブスクリプション一覧の取得

実際にAzure CLIを使用して、環境へのログインと利用可能なサブスクリプションを確認する手順を見ていきましょう。

1. Azureへのログイン

まずは以下のコマンドを実行します。

Bash

az login

実行するとブラウザが起動し、Microsoftアカウントの認証画面が表示されます。認証が完了すると、端末にログイン済みのプロファイル情報が表示されます。

2. サブスクリプション一覧をテーブル形式で表示

次に、現在のアカウントに紐付いているサブスクリプションを一覧表示します。

Bash

az account list --output table

--output table オプションを付与することで、以下のように人間が見やすい表形式で結果が出力されます。

出力イメージ:

Plaintext

Name                        CloudName    SubscriptionId                        TenantId                              State    IsDefault
--------------------------  -----------  ------------------------------------  ------------------------------------  -------  -----------
Subscription_Name           AzureCloud   XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX  XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX  Enabled  True

コマンドの解説

  • az login
    Azureのリソース操作を開始するための「鍵」を開ける作業です。
  • az account list
    自身がアクセス権を持つすべてのサブスクリプション情報を取得します。
  • --output table
    デフォルトのJSON形式ではなく、行と列で整理された「テーブル形式」で表示するための指定です。

Azure PowerShellの特徴とコマンド例

Azure PowerShellは、PowerShellの機能を拡張してAzureリソースを管理するためのモジュール群です。
.NETフレームワークをベースとしており、データを単なるテキストではなく「オブジェクト」として扱うのが最大の特徴です。

Azure PowerShellの主な特徴

  • 一貫した構文ルール:
    「Verb-Noun(動詞-名詞)」という規則に基づいたコマンド名(コマンドレット)により、初見でも機能が推測しやすくなっています。
  • 強力なパイプライン処理:
    実行結果をオブジェクトとして次のコマンドへ渡せるため、特定の条件でリソースを抽出し、一括で設定を変更するといった複雑な処理を容易に記述できます。
  • Windowsエコシステムとの統合:
    Windowsサーバーの管理タスクや、既存のPowerShellスクリプト資産とシームレスに連携できます。

実践:ログインからサブスクリプション一覧の取得

Azure PowerShellを使用して、認証と情報取得を行う手順を確認しましょう。

1. Azureへのサインイン

PowerShellコンソールで以下のコマンドを実行します。

PowerShell

Connect-AzAccount

Azure CLIと同様にブラウザが起動し、認証を求められます。
サインインが完了すると、現在アクティブなサブスクリプション情報がオブジェクトとして返されます。

2. サブスクリプション情報を選択して表示

次に、利用可能なサブスクリプションの一覧を取得し、必要な項目だけを抽出して表示します。

PowerShell

Get-AzSubscription | Format-Table Name, Id, State

ここでは「パイプライン(|)」を使い、取得した全ての情報を Format-Table コマンドに渡して、表示項目を絞り込んでいます。

出力イメージ:

Plaintext

Name                       Id                                   State
----                       --                                   -----
Subscription_Name          XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX Enabled

コマンドの解説

  • Connect-AzAccount
    Azure環境への接続を確立します。
  • Get-AzSubscription
    アカウントがアクセスできるサブスクリプションの全属性を「オブジェクト」として取得します。
  • | Format-Table Name, Id, State
    取得したオブジェクトの中から「名前・ID・状態」のプロパティのみを抽出し、表形式で整形します。

Azure CLIとAzure PowerShellの主な相違点

Azure CLIとAzure PowerShellは、どちらもAzureリソースを操作するという目的は同じですが、その仕組みや特性には明確な違いがあります。
主要な項目を比較表にまとめました。

比較項目Azure CLIAzure PowerShell
ベースとなる技術Python.NET / PowerShell
コマンド形式az <コマンド> <サブコマンド>動詞-Az名詞 (例: Get-AzResource)
出力結果の形式JSON (デフォルト), Table, TSV.NET オブジェクト
文法スタイル短く、簡潔 (Bashに近い)冗長だが、意味が明確
得意な処理単発の操作、簡単なスクリプト複雑なロジック、データ加工
推奨環境macOS, Linux, WindowsWindows (特にシステム管理用途)

どちらを重視して選ぶべきか?

出力形式の違いが「自動化」の鍵

最大の違いは「出力がテキスト(JSON)か、オブジェクトか」という点です。

  • Azure CLIの結果を次の処理に渡す場合、JSONパーサー(jqなど)を使ってテキストを解析する必要があります。
  • Azure PowerShellの場合、結果がデータそのもの(オブジェクト)として保持されているため、プロパティ名を指定するだけで簡単に特定のデータを取り出せます。

学習コストと直感性

  • Azure CLIはコマンドが短いため、日常的な確認作業では手軽に利用できます。
  • Azure PowerShellはコマンド名が長くなりがちですが、「何をするためのコマンドか」が名前から判別しやすく、PowerShellの基本を知っていれば応用が利きやすいというメリットがあります。

失敗しない使い分けの3つの判断基準

Azure CLIとAzure PowerShellのどちらをメインツールとして採用するかは、以下の3つのポイントで判断するとスムーズです。

1. 実行環境(プラットフォーム)は何か

最も基本的かつ重要な判断基準は、コマンドを実行する環境です。

  • Linux / macOS / WSL:
    Bashやzshが標準の環境では、Azure CLIが最適です。
    環境変数やパイプライン処理を既存のシェルスクリプトの作法で記述できます。
  • Windows:
    Windows PowerShellやPowerShell 7を使用している環境なら、Azure PowerShellが第一候補です。
    OS自体の管理コマンドと構文が共通しているため、学習コストを抑えられます。

2. 出力データをどのように加工・利用するか

操作の後に、そのデータをどう扱いたいかによって「向き・不向き」が分かれます。

  • 単発の操作・視認性重視:
    「今すぐリソースの状態を確認したい」「1つだけリソースを作成したい」といった場合は、コマンドが短く結果がテキストで返ってくるAzure CLIが手軽です。
  • 複雑なロジック・一括処理:
    「特定の条件に合致するリソースを抽出し、そのIDを使って別の設定変更をループで行う」といった高度な自動化には、Azure PowerShellが向いています。
    データをオブジェクトとして保持できるため、情報の抽出ミスが起こりにくくなります。

3. チームのスキルセットと既存資産

個人の好みだけでなく、プロジェクト全体の持続可能性も考慮します。

  • 開発者中心のチーム:
    PythonやJavaScript、Bashなどに慣れているメンバーが多い場合は、Azure CLIの方が馴染みやすい傾向にあります。
  • インフラ管理中心のチーム:
    既にオンプレミスのWindows Server管理などでPowerShellのスクリプト資産がある場合は、Azure PowerShellを採用することで、これまでのノウハウをそのままAzure管理に転用できます。

まとめ

Azure CLIとAzure PowerShellは、どちらかが一方より優れているというわけではなく、それぞれに得意分野があります。
最後に、本記事の内容を整理します。

  • Azure CLIは、短くシンプルなコマンドが魅力です。
    Bash環境やmacOS、Linuxを利用している方、または手軽にリソースの確認や作成を行いたい方に適しています。
  • Azure PowerShellは、データをオブジェクトとして扱う強力な機能を持っています。
    Windows環境での運用がメインの方や、複雑な条件分岐を含む自動化スクリプトを構築したい方に最適です。

どちらのツールを選ぶにせよ、まずはご自身の慣れ親しんだOS環境で、今回紹介した「ログイン」や「サブスクリプション取得」のコマンドを実際に試してみることが大切です。

「開発環境ではCLI、本番環境の複雑な運用管理にはPowerShell」といったように、用途に応じてこれら2つのツールを使い分けることで、Azureの運用効率は飛躍的に向上します。
ご自身のスキルセットやプロジェクトの要件に合わせて、最適なツールを選択してください。

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ABOUT ME
ポコぺん
ポコぺん
ぷぅ
北海道在住のITエンジニア。

システム構築および運用・保守を経験。
ESXi、Azure、Proxmox VEについて基礎的な理解あり。
C系言語、PowerShellスクリプト、Excelマクロなどを少々扱う。
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